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Column
真ちょえん的日記
15年。
2016年07月28日(木)
15年の節目の日から、ずいぶんと時間が経ってしまった。


この1年間で何かが変わったかといえば、またひとつ、大きなものを失ったということくらいだろう。己の我儘で。幸せへの恐怖で。――幸せへの恐怖という言い訳で。



捨てることを厭わなくなり、しがみつくものと、しがみつかないものの境界線はずいぶんと色濃くなってきた。それでいて、いつも境界線の上に佇んでいる。

それでも、私はずいぶんと死んでしまった。ずいぶんと今生を離れるための準備を進めてしまった。おかしなことに、今生にしがみついているにも拘らず。

これからも死にながら、生きていくのだろう。あるいは殺しながら、生かされていくのだろう。



1年が、あるいは15年が過ぎて、ひとつだけ気づいたことがある。松田聖子さんの「あなたに逢いたくて」。あなたが狭く暗い部屋で聴いていた曲だ。

あのとき――もう記憶が曖昧でそれがいつ頃なのかが分からない――、あなたは誰に逢いたくて、その曲を聴いていたのだろう。いや、その曲を掛けることで、失われようとしていた愛や今生が何か延命できるかもしれない。そう考えていたのかもしれない。



 きっと、何も叶わなかった。
 何も変わらなかった。
 幸せはついに手に入らなかった。



私は今年も「あなたに逢いたくて」を聴いている。

もしかしたら、私も同じ目的なのかもしれない。そしてそう遠くない未来、気付かされるのだ。叶わない夢の通い路で呆然と立ち尽くしている自分に。その救われぬ姿に。幸せの恐怖に怯えながら、枯れてゆく己の醜態に。


もう巻き添えはいらない。あとはこの坂を下って転げて、死んでしまうだけなのだ。境界線の上の、幸せのない白昼夢の道。笑いながら下ってゆこう。両手を振って。どうせ醜く壊れるなら、この刹那、孤独の幸せを愛しているように思いっきり演じてやろうじゃないか。


これからも死にながら、生きていく運命を背負っているのだから。

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