ここに掲載する地図は、
昭和11年（1936年）二修版5万分の1地形図「小倉」から抜粋したものです。

（この記事では地図画像を「右クリック→新しいタブで開く」などで別に開いておくと読みやすいと思います）

地図は国土地理院から複製を取り寄せることができますので、
みなさんもぜひお住まいの地域の地形図を取り寄せてみてくださいね。
http://www.gsi.go.jp/MAP/HISTORY/koufu.html


さて、昭和11年は今から74年前です。

当時、小倉には陸軍の造兵廠があり、
兵器や戦車が製造されていました。

造兵廠の敷地は58万平方メートル、
よく言う東京ドームサイズの12個分。
当時の地図でもその広大さが分かります。

紫川沿いに、日豊本線から分かれて
引き込み線が入り込んでいるやや白い土地。
現在は北九州市役所や小倉北区役所、
大手町のマンション街があるあたりが、
小倉造兵廠でした。
この巨大な兵器製造工場があったことで、
長崎原爆の最初のターゲットにもなりました。


地図の中央、
南北に路面電車の軌道敷きが走っています。
これらはすべて昭和60年（1985年）に
モノレール小倉線に置き換わりました。

東側（地図の右側）にも線路があります。
これは私鉄・小倉鉄道で足立山麓を走っていました。
途中の駅は「妙見駅」です。
小倉鉄道は東小倉駅で国鉄鹿児島本線に
接していましたが、
国鉄側に駅がないなど接続が悪く、
同鉄道を接収した国鉄は昭和31年（1956年）に
城野から石田駅への短絡線を完工。
同年をもって妙見駅の前後は廃止されました。


鉄道でいえば、当時の小倉駅は
いまの西小倉駅の位置にありました。
小倉駅が現在地に移転したのは昭和33年（1958年）です。

駅のすぐ北に海が接していて、
まだ埋め立てが進んでいないことも分かります。


地図の中央、「三萩野」の文字があるあたりは
いまはメディアドームになっています。


地図の北西、左上のほうに目を向けてみましょう。
NHK北九州放送局の前身、
日本放送協会小倉放送局は昭和6年（1931年）に完成。
地図の当時はまだ真新しい局舎があったことでしょう。
同局は昭和41年（1966年）にいまの小倉北警察署がある場所に移転。
平成15年（2003年）にはリバーウォーク北九州に移りました。

また、私の母校である常磐高校も
当時は「常磐中学」として小倉放送局そばの
日明（ひあがり）にありました。
（※地図では「磐」が「盤」になっていますね）

ちなみに、私が行く気もないのに
受けて落ちた現・県立小倉西高校は、
当時はまだ女子のみの小倉高等女学校でした。
「板櫃」という文字のすぐ下にあります。


冒頭で小倉造兵廠について述べましたが、
地図からは戦争の色も強く伝わってきます。

地図の左下にある変わった囲いの建物群。
これは山田弾薬庫です。
また、城野駅（最下部「じゃうの」）の北、
三郎丸という文字の下あたりに
線路が縦に伸びている土地がありますが、
ここは後に陸自小倉駐屯地・城野分屯地になり、
平成20年（2008年）まで使われていました。


一方で工業都市や商都としての小倉も見えてきます。

小倉造兵廠の対岸に工場の記号が二つ。
ここは当時も、そして今も、
TOTO（当時・東洋陶器）の本社と小倉工場があります。

いまの小倉駅がある周辺は、
今よりもはっきりと碁盤の目状の町並みが見て取れます。
ちょっとわかりにくいですが、
「魚町」の文字も記されています。
江戸期以来の商業集積地、そして花街。
城下町の賑わいがあります。

そういえば、小倉城の記号がないことにも気づくかもしれません。
小倉城の天守閣は天保8年（1837年）に焼失。
「龍馬伝」の時代、慶応2年（1866年）には、
長州藩の攻勢に勝機を見いだせず、小倉藩は城を逃げ出します。
以後、昭和34年（1959年）に天守閣が再建されるまでは、
小倉はシンボルタワーを失ったままでした。


というわけで、
このあたりで小倉の歴史探訪を終わります。
次は黒崎をフィーチャーしたいと思いますが、
掲載はまだ未定です。
お楽しみに☆