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カンボジアの首都・プノンペン郊外にあるゴミ集積場。スモーキーマウンテンともいわれている。
訪問したのは2004年のこと。日本のカトリック系NGO「JLMM」(日本カトリック信徒宣教者会)が教育や環境の支援を行っていた。都市ゴミの中から使えるものを集めて糧にするという生活は、健康への影響が大きく、ダイオキシン汚染の問題も表面化。このとき、ゴミ集積場は統合・移転されるという話を聞いた。 悪臭の漂う劣悪な環境から逃れられるのいうのだから手放しで喜べるはずの政策であったが、それは、私がみても嬉しい話ではなかった。 ゴミ集積場は移転しても、雇用はうまない。もし移転したら、ここで生活していた人の換金手段が奪われてしまう。どうやって生きていけばいいのか――。 それから5年が経とうとしているが、ゴミ集積場が消えたという話は聞かない。未だにゴミ山に生活を求めてくる人がいるという。 都市が「まだ使えるもの」をゴミとして排出する。歪(いびつ)な構造が浮かび上がる。 それは最貧国のカンボジアだけの問題だろうか。世界の事実に触れるとき、対岸の火事ではいられない切迫感が身に染みることがある。 ■この記事の関連ページ ・JLMM(http://jlmm.net/) ・JICAのカンボジア事業(http://www.jica.go.jp/cambodia/) |
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